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映画「梟-フクロウ」を観てきた。後半怒涛のサスペンス・スリラーだった。

たまたまミニシアター系の映画で面白いものがないか、をネットで検索していたところ、新宿武蔵野館で上映中の韓国映画「梟-フクロウ」という作品が目に止まった。

 

韓国で以下のような記録を樹立しているらしいこと、そしてサスペンスものらしい、ということがわかって、SNS上のコメントも好評だったのだ。では、ちょっと行ってみるかということで、新宿の武蔵野館まで行ったのだった。

久々の武蔵野館であった。ロビーのラウンジはノマドワーカーが使えるようなテーブルやソファ、椅子があり、くつろげるようになっていた。売っているドリンクやスナックも、いわゆるシアターコンプレックスよりもバラエティーがあり、また安いものも売っているのでありがたい。

 

土曜日のその日はほぼ満席であった。口コミによって話題になっていたのだろうか。

 

さて、映画は以下の朝鮮王朝実録をもとにして、想像を膨らませた物語だそうだ。

 

朝鮮に戻った王の子は、ほどなくして病にかかり、命を落とした。
彼の全身は黒く変色し、目や耳、鼻や口など七つの穴から鮮血を流し、さながら薬物中毒死のようであった。
ー朝鮮王朝実録ー

 

主人公は盲目の鍼師である。その彼と同じような視線でこの事件を目撃していくのだが、特に中盤からは片時も目を離すことができなくなった。

 

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役者の演技が大変すばらしい。韓国映画はそれほど沢山みているわけではないが、役者の演技レベルが大変高いのではないか、と感心する。

 

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エンターテインメントとして、とても面白いが、単にそれだけに終わらず、最後の方では映画的なカタルシスを感じさせる展開があり、心を揺さぶられたのだった。

現実世界ではなかなか声を上げることができないが、映画の中でそれを代弁してみせているのだ。おすすめである。

 

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ではまた。

 

話題の映画「ザ・クリエイター/創造者」を観てきた。とても良かった、超おすすめだ。

最近、月に1度は映画を見ようと思っている。そこで、たまたま予告編で見たことがあった、「ザ・クリエイター/創造者」をたいした期待もせずに、ただAIロボットやアンドロイドものは結構好きなので、どんなものかと思って見に行った。

 目次

一言感想

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結果、個人的には超感動、とっても良かった。正直前半はそんな感じなのね、という印象で、うっかり途中でトイレに行ったりもしたのだが、後半そして最後の30分は圧倒的で、なぜか涙腺が緩みっぱなしだった。これまでに無いような凄い映像と圧倒的な音楽、そして後半の物語が凄かった。 SFものといっても、アクションを売りにするような作品とは違った。実にエモーショナルなヒューマンドラマだった。 

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ザ・クリエイターのホームページは以下から。

www.20thcenturystudios.jp

 

物語 

2065年地球ではAIロボット(アンドロイド)が急速に進化し、工場で働き、治安維持にあたり、人の生活を助けている。もはやなくてはならない存在となっている。しかし、ロサンゼルスではロボットが核兵器を爆発させて、100万人を死滅させるという事件が発生してしまう。それを機に、欧米(西洋)ではAIを禁止、全てのAIロボットを破壊することになったのだ。
 
しかし、その一方でアジア(映画ではニューアジアとされる=東洋)では、AIロボットの開発を続けており、より人間に近いシミュラントというAIロボットが開発されている。そのため、あくまでAI撲滅を狙う西洋と、AIと共に生きている東洋、およびAIとの戦争が何年も続いているのだ。

 

主人公のジョシュアはニューアジアの拠点に潜入調査していたが、攻撃の最中に妻とはぐれてしまう。恐らく死んでしまったとジョシュアは絶望する。そして、5年後。アメリカ軍は、戦争を終わらせるという最終兵器がアジアで生み出されたという情報をキャッチし、その兵器と創造者を抹殺しようとする。軍は現地にかつて潜入していて詳しいジョシュア(主人公)に再び任務に就くように説得。まだ妻が生きているかもしれないという情報と引き換えに、再びニューアジアへ向かうのだった。

そこで出会った最終兵器とされるのは、あどけない少女ロボットのアルフィだった。そこからジョシュアはアルフィを守りながら、アジアの奥深く、アルフィを作ったという創造者(ニルマータ)を探す旅に出るのだ。
 


先年の「デューン砂の惑星」の音楽を担当したハンス・ジマーによる壮大な音楽、そして、これまでに見たことが無いようなエモーショナルな映像が見るものを圧倒する。


 考察

1)映画では、西洋はAIロボットはあくまで機械であり、物でしかないとみなして、よって破壊・殲滅することに全くのためらいがない。単なる物としてスクラップするのだ。一方、東洋においてはそれは共生する存在であり、パートナーとして欠かせない存在となっている。当然ロボットが死ねば(オフすれば)手厚く葬る。そこには搾取する側とされる側の視点がある。 敵なのか、味方なのかという価値観の違いがそこにはある。

 

2)この映画を見て、いろいろ思い出されるものがあった。 

私にとって、古くは鉄腕アトムであり、PLUTOであり、日本の漫画においては、さまざまな愛すべきロボットとの共生の物語が作られてきた。例えば、他には業田良家の「ロボット小雪」、島田虎之介の「ロボ・サピエンス前史」などがある。

ゲームにおいても、「デトロイト・ビカム・ヒューマン」や「ストレイ」などアンドロイドやロボットを取りあげた作品が想起される。特に、この物語はデトロイトの逃避行を思わせる。

 

3)アメリカ軍によるニューアジアへの侵攻は、まるでベトナム戦争映画を見ているかのようなシーンが映し出される。それはかつての「プラトーン」などの映画でのオマージュなのか。地下にAIの拠点があるという設定も南ベトナム解放民族戦線の地下網を思わせる。

軍(西洋)による圧倒的な火力による蹂躙が、傲慢に押し付けてくる自己中心の正義の表れとして、虐げられたマイノリティ(AI)との戦いで表現される。 これはくしくも、今勃発していうイスラエルハマスとの戦いを想像せずにはいられない。

 

4)この映画の着地点がこの映画を感動的なものにしている。 

アメリカ軍が敵とみなすAIロボットを冷酷非道に攻撃する傲慢さを見ていて、我々はいつの間にかAI側を応援しているのだ。今の世の中で戦争の暗雲がいたるところで渦巻く中、一体人間とは何なのか。どう生きるべきなのか、主人公のジョシュアとアルフィがたどり着くクライマックスに我々は涙するのだ。そしてその答えに、我々が持つべき希望があると痛切に訴えてくるのだ。

 

まさに傑作。SF、AIやロボット・アンドロイドもの、抒情的な作品が好きな人にはものすごくハマる映画だと思う。個人的には今のところ今年ベストワンの作品だ。ぜひ、ご覧ください。

 

ではまた。

 

 

映画「グランツーリスモ」は面白かった。おすすめだ。

先日のテレビのバラエティで、今上映中の映画について紹介をするコーナーがあった。その中では、ポアロやパリの猫の話の他に、グランツーリスモを取り上げていたのだが、この「グランツーリスモ」が面白そうだと印象に残ったのだ。ゲームで有名な作品ではあるが、ゲームのキワモノなのかと思っていたら、どうも王道のスポーツ根性もの、というか、少年が成長していくサクセスストーリーなのだった。やたら熱い映画のようなのだ。SNSでの評判も非常に高いものだった。そこで封切すぐに見に行くことにした。

www.gt-movie.jp

 

ストーリーは実話に基づいているということだったが、私はその実話を全く知らなかったので、逆にそれが新鮮に感じられ、本当にそんなことがあったのかという驚きをもってみることができた。

 

日産とプレイステーションでは、ゲーム・グランツーリスモのトッププレイヤーに、本物のカーレーサーになるチャンスを与えるという、GTアカデミーというプログラムを設立したのだ。ゲームというバーチャルの世界のプレイヤーが時速350kmを超える本物のマシンのドライバーになれる、かもしれないという夢のようなプログラムなのだ。

 

これを可能にしたのが、ゲーム・グランツーリスモがレースのシミュレーターとして、非常に精密に出来ているということが背景にある。実際にこの映画のモデルとなった、ヤン・マーデンボローは、見ているコースの景色は全く同じで操縦する上での違和感はほとんどなかったと言う。驚くべきものだ。

 

これをベースに作られた映画は、とてもよく出来ていたと思う。スポコン物の王道を踏んでいるとはいえ、簡単に成功に結び付くわけではなく、その辺の描き方もうまい。

 

メガホンを取ったのは、ニール・ブロムカンプ。SF映画第9地区」という非常に成功を収めた映画は名前は聞いたことがあったが未見だ。実にクールな恰好の良い、モータースポーツの格好良さを見事に映し出している。特にメインイベントとして出てくるル・マン24時間耐久レースのオープニングシーンは実にカッコいい撮り方をしている。ぜひ見てほしい。

 

映画では日産が全面協力していることもあり、東京のシーンが何回か映しだされるのも、日本人としては楽しい。東京の夜を魅力あるものとして雰囲気良く撮っていると思う。

 

キャストも素晴らしく、誰もが実にうまいなあと思う。チーフエンジニアを演じる、デヴィッド・ハーバーや、プロデューサーのオーランド・ブルームはもちろん、主人公のヤンを演じたアーチー・マデクウィや、ヤンの父親を演じていた、ジャイモン・フンスーの演技は実に感動的だった。

 

そして、映画の中で流れる音楽がどれもクールでよかった。2時間を超える映画なのだが、体感としては1時間半くらいに感じるほど充実した映画だ。

 

ブラックサバスのパラノイドを聞きながらこのブログを書いている。

 

ではまた。

 

映画「君たちはどう生きるか」を観てきた。意外に良かった!

先日、宮﨑駿監督の「君たちはどう生きるか」を観に行ってきた。公開日まで予告編もなく、一切の前情報がなかったため、(唯一あったのはアオサギの絵だけだ)逆にどのような作品なのかという興味をもって見に行くことになったのだ。それこそが制作側の意図したことだろうか。

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見た率直な感想は、意外に良かった、だ。もっと変な作品になっているかと想像していたが、見終わって、決して嫌いではないな、と思った。

そして、不思議なことに、自宅へ帰ってきてから今もいくつかの断片的な絵が印象に残っている。例えば、海の遥か彼方に見える沢山の帆船のシーンだ。あるいは死の島としての森と巨大な墓石だ。空中に浮かぶ不思議な石や、スペイン風のアーチがある回廊だ。それらがまるで絵画のように心に残っている。また、久石譲のミニマムな音楽も印象に残った。ピアノが奏でる単旋律や和音は決して声高にメロディを奏でない。音楽が盛り立てるのではなく、むしろ、映像に沿うようにひっそりとミニマムの音を当てていく。これまでの作品にはない雰囲気を作り出していた。

 

不思議な物語だった。死と生と、想像と崩壊、友情を描くファンタジーだ。見る人によって、その受け取り方は違うかもしれない。

展開としては、前半はやや冗長な感じがして、もっと早く展開してもいいように感じた。それでも不思議な世界に入ってからは、奇想天外で飽きることなく見ることができた。最後はまるで抽象・前衛的なSFの世界のようにも思えた。

 

ところで、うちではセキセイインコを飼っているので、インコたちが大量に出てくるのには笑ったが、それにしてもこの映画にはたくさんの鳥たちが出てくる。それが不思議だった。なぜ、インコだったのか。

 

映画に勧善懲悪や見終わってスッキリしたいということを求める人にはお勧めしないが、そうでなければぜひ見てほしいと思った。 

 

ではまた。

映画「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」を観てきた。

シリーズ第5作、最終作品としてこの夏公開されている「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」を観てきた。Dolby シアターなのでちょっと料金は高めだった。

これまでの4作は全て、スティーブン・スピルバーグが監督を務めていたのだが、この5作目ではスピルバーグはプロデューサーに回り、監督はジェームズ・マンゴールドが務めている。

www.disney.co.jp

金曜日の14時過ぎの回だったが、意外に空いていた。さて、その作品の感想だが、個人的には☆5点中、3.5くらいかなというところだった。ハリソン・フォードインディ・ジョーンズ最終作だということでもろ手を挙げて感無量というほどの出来ではなかった。

 

物語は1944年ナチスドイツがいよいよ敗戦かという時期に始まる。そして、ナチスの科学者が見つけた謎のダイヤルを巡っての争いが展開する。時代は1969年に移り、アポロ宇宙飛行士のパレードが繰り広げられる中、チェイスが繰り広げられる。

そのあと、モロッコに飛んでいくのだが、このあたりのすったもんだがやや中だるみするような感じなのだ。ここがやたら長すぎる気がするのだ。いまひとつリズムが良くなかった気がする。

 

それでも、後半ギリシャの洞窟を抜けて行くあたりから、ようやくインディー・ジョーンズらしさが見えてくる。そして、最後は奇想天外な展開となって、この辺はなかなか面白かった。

 

ただ、悪者でもない普通にジョーンズの同僚だったり、一緒に働いていた人が殺されてしまう、という展開は見ていて気持ちがいいものではなかった。

 

あと、長年の相棒の娘としてヘレナが登場し、重要な役回りをするのだが、今一つ彼女のキャラクター設定が良くない気がした。そして、最後まで彼女は何をしたかったのかが、いまひとつわからなかった。

 

ではまた。

超おすすめ。映画「ウィ、シェフ!」を観てきた。とても良い映画だった。

友達が観てきて、この映画はとても良かったと大絶賛をしていたのと、テーマがフランスの移民問題と食を取り上げていることに興味を持って、果たしてどんな映画なのか全く事前知識なしに観に行ってきた。結果、とっても良かった。

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公式ホームページはこちらから。

ouichef-movie.com

「ウィ、シェフ」という題名からしてフランス映画だ。舞台はフランスの超有名なレストランから始まる。主人公のカティ・マリーはそこで働くシェフだった。彼女の得意料理、ビーツのパイプオルガンという前菜を作っていたところ、その店のオーナーが勝手に盛り付けを変えてしまう。そのことに怒って、けんかしてその店を辞めてしまうところから話は始まる。

 

まず、話の展開が実に見事で、無駄がなく、とてもよくできたシナリオである。そして、役者が全て素晴らしい。

カティ・マリー役、オドレイ・ラミー、の大きな瞳が実に雄弁に物語る。移民施設長のロレンゾ役のフランソワ・クリュゼが素晴らしい。施設の職員であるサビーヌは包容力のある存在だ。そして、何よりオーディションで選ばれた、実際の移民の少年たちが素晴らしい。

 

フランスは移民大国だ。パンフレットによれば、700万人、人口の10人に一人は移民だというのだ。その移民社会を背景として、未成年の移民のための支援制度がどうなっているのか、を横軸に描いている。

 

縦軸となるのは、主人公カティ・マリーが料理人として放り込まれた、この移民支援施設での奮闘ぶりだ。

あまり宣伝されていないが、本当に多くの人に観てほしい。

 

ではまた。

映画「生きる LIVING」を観てきた。 ネタバレあり。

黒澤明の名作「生きる」をもとにしたイギリス映画ということで、どんな作品なのか観に行ってきた。

ikiru-living-movie.jp

 

かつての黒澤作品は多分40年くらい前に、東京のどこかの名画座で見た。その時よく覚えているのは、見ていたおばあさんらしき人が終演後に大拍手をしていたことだ。そして、演出の仕方が実に見事だと思ったシーンがあったことだ。ただ、もはや作品の細かい内容は忘れてしまっている。

 

さて、今回の作品である。最初思ったのは、ああいかにもイギリス英語だということだ。ウイリアムズが思いっきりもって回った言い回しをするのが、いかにもイギリス人的だなあ、と思った。どの役者も癖のない英語で、英語の勉強にはよさそうだと思った。それが冒頭頭に残った。そして、主人公のウイリアムズが英国紳士という感じがする。黒澤の原作ではもっとうらぶれたうだつの上がらない男という印象があった。

 

このイギリス版では、ウェイクリングという新しく区役所の同じ課に入った新人の目で語られる部分がある。その視線でみるというのが脚本としてよいなと思った。

 

ただ、一部同僚の女子マーガレットとデートをする場面で、ちょっと会話のシーンが長すぎると思った。ウイリアムズがいろいろ語るのだが、何かもう少し、あそこは演出的にうまく映像を使って語れなかったのか、という気はする。

 

黒澤明の「生きる」を観たのはもうかれこれ40年近く前のことだ。自分も老境と言っていい年代になった。その立場からこの作品を見ると、いろいろと考えさせられることはある。

 

限られた人生の残りを刹那的な楽しさを求めて生きるのか。何か自分なりに納得できることをするのか。考えさせられた。

 

元同僚の女子、マーガレットに付きまとい、老いらくの恋と呼ばれながらも追いすがる姿はいらいらするが、他人事とも思えない思いもした。

 

最後のシーン、警察官とウェイクリングの会話が良かった。警察官は雪の降る晩、完成した公園のブランコにウィリアムズが座って歌を歌っているのを見ていた。彼は声をかけるのを躊躇し歩み去ったが、寒い晩で彼は声をかけて帰るように促すべきではなかったかと、自責の念にかられていたのだ。恐らくウィリアムスはそのあと死んでしまったのかもしれない。ウェイクリングはそれに対して、いやあれで良かったのです。ウイリアムズさんはその時幸せだったのだと思いますと返し、それによって警察官は救われる思いがしたのだ。

 

 

ではまた。